藤子は思わず、

「雪は空からの手紙である、か…」

 ひとりごちた。

「何の手紙なんだろうね」

 雪穂が返す。

「ラブレターならいいな」

「私は手紙もらうなら現金書留がいいなぁ」

 マヤがぶち壊しなことを言うと、

「私は書籍だから第四種郵便物かな」

 藤子らしい切り返しをしてみせた。

 ダラダラと長い坂道を、名残惜しくくだった。

 坂道を軽川に沿うて降りると、手稲駅へと通ずる国道との交差点へ出た。

 あれほど賑々しくしゃべっていたのに、いつの間にやら言葉数が減っている。

 赤信号の間、少しだけ黙った。

 信号が変わる。

 歩道は、青が点灯した。

 藤子たちアイドル部の面々は、青信号の横断歩道を、晴れたり雪がちらついたりする中を、駅に向かって歩き始めた。



(完)