卒業式の前日、部室に集まったアイドル部全員に対し、

「明日で泣いても笑っても最後だから話すけど」

 藤子は語り始めた。

「実は私ね、アイドル同好会に入るとき、単純にののかがいたから入ったんだよね」

 そもそも澪がアイドルが好きで、ののかもつられるように遊んでいたらしいのだが、

「私はまるっきりアイドルって興味なくて。でも何か楽しそうだったし、何より好きなことに熱中出来てて羨ましかった」

 それで、たまたま合格したから追いかけるように入ったらしい。

「でも最初は誰も振り向いてなんてくれなかったし、バカにされたりするなんて日常茶飯事だった。でも、それ以上に毎日がキラキラしていたし、好きなことで生きられるって、こんな素晴らしいんだって、澪ちゃんやののかを見て思ったの」

 だから、と藤子は、

「いろんなことがあるかもしれないけど、好きこそ物の上手なれで、情熱を注げることって大切なんだと思う。みんなには、それを大切にして欲しいな」

 同好会を知る最後の初期メンバーらしいセリフであった。