二月の雪まつりライブでは、附属中から二人が加入することが決まったのだが、その紹介のさなかに衝撃に直面したことがあった。

 このとき。

 ステージ上から、清正と安達茉莉江が手を繫いで仲良さげに歩いているのを、唯が見つけてしまったのである。

(…いつの間に)

 唯はびっくりしたが、ステージの本番中なので慌てて驚きを隠した。

 終了後、舞台裏で清正を問い詰めると、

「例の事件のあと、何くれと面倒見てくれてやね」

 安達茉莉江が卒業後、通信制の大学で経営学を学びながら、実家のレストランを手伝っていたのは知っていたが、そこへ挨拶に行った帰りであったらしい。

 退院して茉莉江が二十歳の誕生日を迎えた頃から、交際がとんとん拍子に進んで、この六月に挙式するのだという。

「まさか安達茉莉江とはねぇ…」

 話を聞いた澪も目をむいたが、でも茉莉江ならお似合いなような気もしたのか、

「案外合うかもよ」

 とだけ言った。



 三月の卒業式ライブのリハーサルが始まると、

「総代は萩野森唯ちゃんで」

 という話になった。

 本来生徒会長がつとめる慣例が、現職が二期目に入った二年生の翠で──最終的には生徒会を選んだ──あるため、功績から唯が選ばれたのである。

「藤子でも良いんじゃないかなぁ?」

 唯は藤子を推したが、

「だって先代のアイドル部部長は唯でしょ?」

 という藤子の一言で決まった。

「さすがに答辞は藤子、あんたお願いね」

 功績から言って順当であろう。