その他方で。

 ハマスタの全国大会へのエントリーはしない、という方針も多数決で決めた。

「七人ギリギリじゃあ、出るのもどうかなって」

 というすみれの意見を取り入れてのことであったが、前年度優勝校で、しかも全国区となったアイドル部が出ないというだけで騒ぎとなった。

「また雪穂先輩みたいに、知らない人に肩を掴まれるような危険は避けなきゃね」

 これには雪穂も笑うしかなかった。

「みな穂には悪いけど、来年は優勝旗を一人で返しに行ってもらうしかないよね…」

 すみれはバツの悪そうな顔をした。

 みな穂の基軸は、

「大人に振り回されないこと」

 というのが方向性としてあったようで、

「私たちは大人のお金儲けの玩具でもないし、もちろん人間だし、ましてやATMでもない」

 と雪穂が言った台詞を、行動にあらわしたかのように、みな穂は明確に動いていたようである。

 唯が目標としていた札幌ドームの単独ライブは、コンサドーレのファンフェスタのゲストというかたちで叶った。

「私、ベガルタファンなんだけどな…」

 みな穂はコッソリ言った。

 すでにインディーズレーベルから出したアルバムは三枚を数え、ニ等身フィギュアのガチャも出た。

「紅白とワールドツアーは、次の代に委ねる」

 無理をしないのが、商業的ではない部活動ならではのアイドル部であった。