すみれは例の念書のコピーを鍵付きの引き出しから取り出すと、

「私言ったよね? うちの事務所では約束事はすべて紙に書いて残す決まりだって」

「だからどうしたのよ!」

 すみれは怒りが増すと逆に冷徹になってゆく。

「今うちのアイドル部は、うちの事務所でマネジメントしてる訳ね。つまり、このルーズリーフのコピーも、うちの事務所の範囲内って訳」

 ここまで来て翠は意を察したらしいが、すでに遅い。

「要は、あなたがここに書いた『今後はアイドル部に迷惑をかけることはいたしません』って内容と、あなたがしたことは、明らかに真逆な訳ね」

 退部するか、生徒会に戻って今後はアイドル部に接近しないか、どちらかを選べ…というのが、すみれの結論らしかった。