それから数日間、翠は部活にあらわれなかった。
「辞めたんじゃない?」
でも退部届は清正のもとへは出ていないらしく、
「どういうことなんだろうね…」
全員が感じるところではある。
「でもさ、みな穂ちょっと甘くない?!」
修学旅行から帰ってきたばかりの優海は納得がいかないようで、
「ちょこっと説教して終わりにするなんてさ、甘過ぎるって」
「優海先輩は、自分にも他人にも厳しいですもんね」
あやめが言うと、
「プロになりたい人がうちの部は少ないからなぁ」
優海はため息を漏らした。
「確かに甘いかも知れないです。けど、罪を憎みて人を憎まずって言うじゃないですか」
「でも…」
「あるいは、徳を以て恨みに報いるとか」
あとは…と言いかけたので、
「もういいって」
優海は苦い顔をした。