基本的にアイドル部は、二年生の修学旅行が終わると代替わりとなる。
今年は優海、雪穂、千波、すみれ、翠の五人が修学旅行に行ったのだが、この間にちょっとした件があった。
「先生、奥さん数年前に亡くなってたんだって」
清正はプライベートを余り明かさない。
「それで生徒のダンスが上達するわけでもないやろ」
という、実に明瞭な理由からである。
「じゃあ、指輪は?」
はるかな以前、ののかが目ざとく見つけた薬指の指輪である。
「ずっと忘れないように、つけてるみたい」
こういう手合いの話柄は、女子高校生の大好物でもある。
「でもさ、そんなに大切にしてるなんて、女の子目線からしたら理想的だよね」
マヤは言う。
「だってそこまで思われてたらさ、たとえ先生が誰かと再婚したって、それはそれで再婚相手が魅力的だって意味でもある訳だし」
そんな男子いないよね、とマヤはすぐ話を壊す。