そうした飾らないみな穂が、いつも一緒に過ごしていたのはあやめで、同期入部でクラスも同じといった共通項もあって、
「イリス、ランチ食べよ?」
あやめをラテン語のイリスで呼び、いつも並んで学食でランチタイムを過ごす。
背が高く大人びた感じの雰囲気をまとったみな穂と、小柄で少し古風なあやめのユニットは、
「姫と侍女」
とマヤが名付けた表現がしっくり来るほど馴染んでいる。
当のみな穂はあやめを下僕扱いすることはなく、
「イリス、私が持ってきてあげるから」
などと甲斐甲斐しく動いてくれたりもする。
「ああいったところが、セラミックスとは違うんだよね」
優海やマヤに言わせると、そんなところであったろう。