日頃の本好きの賜物か、古典や歴史、雑学には造詣が深く、

「この衣装の襟はバッスルスタイルだから十九世紀だけど、この身頃は二十世紀の半ばぐらいの身頃の裁ち方だから、ちょっと違和感がある」

 などと服飾史の話なんかを持ち出したりもする。

「ちょっと偏屈な面はあるけど、みな穂ならアホではないからきっと何とかなるかなって」

 ハマスタで優勝したときの衣装も、唯のデザイン画を見て、

「帝政時代のフランス軍の士官とか、幕末のジャンヌ・ダルクって呼ばれた、会津戦争の新島八重みたいな感じになりそうだよね」

 と即座に反応し、それで唯がみな穂から資料を借り、ブラッシュアップさせて完成形に辿り着いた…というエピソードがある。

 ともあれ。

「分からないときは、鮎貝みな穂に訊け」

 と呼ばれたほどの博覧強記ぶりでもある。

 これはまた藤子と違ったもので、

「私はあんなに詳しくないよ」

 といい、一目置いているフシがあった。