記者会見はかなり長くかかった。
作品とは関係のない質問もかなりあって、
「作品に関連のない質問が出ましたので、会見を打ち切ります」
大人の洗礼を間近に見たような気が、藤子はしたらしい。
茅ヶ崎の宿舎に戻ったときには、すでにメンバーは寝ていた。
「だって夜中の二時近いもん」
そんな中、暗闇で待っていたのは、清正と唯である。
「おかえり」
唯は優しく、藤子を抱きしめた。
「夢、叶っちゃったね」
「これからがいろいろ大変だよ」
それは藤子は、記者会見で重々思い知った。
「有言実行の女やな」
確かに藤子は両方取るとは言い切った。
でもまさか本当に取れるとは夢寐にも思っていなかったらしく、
「取れてなかったら恥ずかしかった」
思わず本音が出た。
唯の前でだけは、藤子は気持ちを包み隠さないらしかった。