二階席にいた清正と翠は、十二番のチームが済んで休憩に入ると、ロビーでサンドイッチをつまみながら他のチームの分析をしていた。

 そこへののかが来た。

「これから面接に行ってきます」

「気をつけや」

「あ、それと先生」

「桜庭くん、どないしたん?」

 清正はスポーツドリンクでサンドイッチを流し込んだ。

「先生は、優勝すると思いますか?」

「するとは思ってへん」

 翠が何かを言い掛けたが、

「ただ、優勝するとは信じとるけどな」

「分かりました」

 それだけを聞くと、ののかはロビーを離れた。

 翠はこのアイドル部というチームの、真の意味での強さを見たような気がした。