いっぽう。
舞台裏の出演者控えとなっているブルペンでは、出場する学校が順番ごとに呼ばれてゆく。
一番から上手、下手と交互にスタンバイしてゆくので、二十四番のアイドル部は下手からとなる。
最初こそ、どこの高校も賑やかに話しているが、出番が近づいて来ると口数が減る。
ライラック女学院は知名度は高い。
今やYouTubeチャンネルの登録数は数万を数え、Twitterは公式マーク付き、部のInstagramは海外からもフォローされている。
果然、他校からも声をかけられる。
特に藤子と雪穂は顔が割れていただけに、
「写真撮ってもらえますか?」
などと求められる。
中には、
「実は藤子ちゃんに憧れて、アイドル始めたんです」
という、四国から来たチームの子もいた。
「YouTubeでずっと見てて、今回一緒に出場出来るのが夢のようだった」
それだけで、同好会時代から精進してきた甲斐があったといっていい。