決戦の朝。
少し早く起きた唯は、相部屋の藤子を起こさないように静かにベッドを出ると、大浴場で一人、気持ちを鎮めた。
戻ると藤子が起きていた。
「いよいよだね」
「うん」
身支度を整えると、カートを引いて食堂へ。
朝食を取り、忘れ物を点検してメンバーを点呼し、
「ありがとうございました!」
全員で深々とホテルに礼をし、会場の横浜スタジアムを目指してバスに乗り込んだ。
「いよいよだね!」
などと言いながら、茅ヶ崎から関内まで、比較的空いていたのもあって少しだけ早めに、横浜スタジアムへ着いた。
ののかがすぐに見つけたらしく、
「おはよー!」
ののかは結果を見られない旨を伝えた。
「今日、夕方面接なんだ」
何の面接かは言わなかったが、敢えて深くも訊かないのが、アイドル部の昔からの信頼関係であろう。
昨日の課題曲のあと、自由曲の発表での順番決めの抽選では、本戦の二十四高中いちばん最後を引いた。
「大トリだから目一杯出来るね」
唯は言う。
「今日は確かテレビ中継があるハズ…」
清正は続けた。
「えぇ顔してゆこうや」
目を細めた。