とりあえず授業は問題なさそうだが、

「車の運転と、日課の運動がなぁ」

 すみれだけが知っている投げ込みである。

「キャッチボールぐらいなら、大丈夫じゃないですか?」

 何気なく雪穂が言った。

「うちのいとこで、中学で野球やってるのいるんですよ」

 相手にどうか、というのである。

「さすがに早い球は投げられんで、バランスとかいろいろあるし」

 清正は笑ってから、

「大人しく教鞭とっとけってことなんかも分からんな」

 どこか達観したような眼差しをした。