が。
本殿から正門をくぐり、弓道場の脇にある駐車場を目指して木立ちを歩いていたときである。
ヒョーッ、と石のようなものが飛んできた。
「危ないっ!」
茉莉江に当たりそうになったので、清正は咄嗟に茉莉江を草むらへ突き飛ばしてかばった。
茉莉江は、スーツが汚れただけで済んだ。
しかし、
「…っ!!」
見ると、清正が右眼に手をあてがい倒れ込んでいる。
指の間から、鮮やかな血が垂れていた。
「大事ない、大事ない…」
と言ってから気を失った。
修羅場である。
「…もしもし?」
藤子は冷静に警察を呼び、運転免許の講習で救護を習ったばかりの美波が、止血のためにハンカチを裂いた。
あたりはざわつき始めている。
人だかりがし始めていた。
ほどなく救急車が到着し、救急隊に運ばれて清正は市立病院へと運ばれていった。