ところで、と美波は、

「自由曲は何とかなりそうなんですが、問題は課題曲で…」

 清正に話を振った。

「まぁ『butterfly girl』やからね…あれは難しいで、変拍子やから」

 五拍子となると取りづらい。

「去年なんか課題曲が七拍子やったから、みんな軒並み駄目やったらしいし」

 難儀やなぁ、と清正はため息をついた。

 それでも。

 オリジナル曲に『ソルジャーアドベンチャー』というナンバーがあって、これは七拍子だから、変拍子をやって出来ないことはない。

「これは財産やで。作ってくれたモロキュウPさんには感謝やな」

 熱狂的なファンだという動画のユーザーが、ボーカロイドを使って作曲してくれたものを、

──アイドル部のために使ってください。

 と申し出てくれた曲である。

「これは宝物にしとかなあかんで」

 すでに、アイドル部はメンバーだけのものだけではなくなっていたのである。