その日の夜。

 藤子は長谷川マネージャーに連絡をつけ、深夜近かったが、自宅に来てもらった。

「マネージャーさんに頼みがあって」

 玄関口まで出しておいた段ボール箱を、

「この中に、私が書き溜めた物が入ってるんで、使えそうなものがあったら使ってください」

 と託した。

「ごめんなさい、こんな夜更けに」

「それより…ほんとに出ないんですか?」

 長谷川マネージャーはあらためて問うてみた。

「これは私だけの戦いじゃない。アイドルを好きでいてくれる人たちみんなのための戦いだから、一人ぐらい討ち死にが出たって、それは仕方がないことだと思う」

 藤子は清々しい眼差しをした。