でも、と優海は食い下がった。

「私は藤子ちゃんが出ないならハマスタに行かない」

「優海は力があるから大丈夫。歌唱力だってある。それを人のために、人生を悪いように変えちゃ駄目なんだよ」

 誰もがスーパーサブと認める、藤子の面目躍如である。

 片足をときにかばい、それでいて頭の良い藤子をファンたちは、

──アイドル界の黒田官兵衛。

 とも呼んでいる。

 それだけに。

「私ね、藤子ちゃんにだけは、てっぺん取らせてあげたいんだ」

 と優海は言った。

「ありがとう」

 藤子は深々と頭を下げた。

「同じように頭が良くても、セラミックスとはえらい違いだよね」

 マヤは言った。

 人は学校の成績では決まらない、ということなのかも知れない。

 しかし。

 ミーティングは結論が出ないまま、この日は終わった。