さらに翌日。

 放課後の部室でアイドル部が準備をしていると。

「ごきげんよう」

 翠があらわれた。

「体験レッスンは週末です」

 ろくに顔も見ないまま雪穂が言った。

「あなたねぇ…」

「あ、セラミックス」

 雪穂のボソッとした口調にかかると、翠は言葉に詰まる。

 それでも、

「…私はあなたたちを、認めたわけではありません」

「私だってあなたの子でも孫でも、ましてや婿でも嫁でもないんで、認めようが認めまいが預かり知らないんですけどね」

 雪穂の切り返しに再び翠は体がぐらついた。

 完全勝利した瞬間である。