しばらくすると、いじめはなくなっていた。

「先生、何やったの?!」

「なーに、大したことはあれへん」

 担任シメて教育委員会と文科省にタレコミしただけや、とのみ言ってあとは語らなかったが、あとから聞くと直接大臣室に申し入れをして、トップサーキットをやったらしい。

「ワイにとっても部員は大切な子たちや。それが脅かされたとなったら、このぐらいは動かなあかんやろ?」

 むしろ清正は泰然としていた。



 連休中、澪が久々に部室に来た。

 美波からあやめの件は聞いていたらしく、

「美波ったらもう、頭に血がのぼるとすぐ動くから…」

 少し大人になろう、と諭した。

 美波は笑って、

「それなら私は最期まで子供のままでいい」

 嘘をついてまで大人になる気はない、と言い放ち、澪をあきれさせた。

 清正も、

「やりかたに問題はあるが、今回はあれでえぇ」

 と美波を厳重注意にしただけであった。