何日かしてすみれは、あやめが来ていないことに気づいた。
「確か授業は来てたよね?」
みな穂はうなずく。
「…探してみる」
雪穂は胸騒ぎがした。
ピンときたので図書室の脇の階段を上がり、鍵が開いていたので、ドアを開け屋上に出た。
いた。
あやめは黙って座り込んで、西陽を眺めている。
「…よかった」
たまらず雪穂は後から、
「あやめちゃん」
「雪穂先輩…」
今にも泣きそうな顔である。
(泣かないで)
雪穂は内心思ったが、駄目だった。
みるみるあやめは涙をポロポロこぼし始めた。
「ずっと我慢してたんだね…私たち先輩が気づかなきゃいけないのにごめんね」
雪穂にはそれしか言葉が見つからない。