そんなとき。

 雪穂が部室で整理をしていると、ドサッと音がした。

 見ると、あやめのカバンから物が散乱している。

「あーあ、もぅ…」

 まるで母親のように片付けていたときに、イタズラ書きをされたノートを見つけた。

 真っ赤なペンで「不潔」「去れ」「消えろ」など書かれてあり、

「これは…」

 雪穂はあやめがいじめに遭っていると直感した。



 それとなく藤子に相談してみると、

「私も遭ったし、澪ちゃんも昔されたって」

 澪のときには美波がかばってくれたし、藤子自身のときにはアイドル部が人気になったのですぐ消えた。

 しかし今回は違う。

「私もあやめちゃんは見ておくから」

 雪穂も気をつけて見ててね、と念を押した。

「うん」

 この頃は雰囲気の近い藤子、雪穂、あやめの三人は姉妹のように、いつも集まって行動している。

 そのため、

「アイドル部三姉妹」

 などと呼ばれ、後日談だがこのうち雪穂とあやめはユニットを組むことになる。