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コウトへ


このてがみは、おねえちゃんといっしょによんでな。


さて、まずはお姉ちゃんのことを教えてやろう。


お姉ちゃんの名前は、橘 冬華。

名前で呼んでやって。きっと喜ぶ。


あと、コウトの自己紹介も俺がしてやろうな。

安達 洸斗。かっこいい名前だろ。

俺はコウトの名前がすごくかっこいいと思う。

俺の名前は『夏哉』って書くんだ。

冬華、ちゃんと教えてやってな。


コウトにまだ漢字は難しいだろうから、全部自分で読める歳になったら、もう一度ひとりで読んでみて。

その頃になっても、冬華とコウトに繋がりがあることを願っています。


さて、本題に入ろうか。


コウト、最近幼稚園と公園に行けなくてごめんな。

俺な、ちょっと忙しくて会いに行けないんだよ。

でも、約束は覚えている。

絶対にまた勝負しような。

かけっこと、あとサッカーだっけ?

俺は、バスケはそこそこできるけど、サッカーはどうだろう。

負けないように練習するからさ、コウトも頑張って、でもあんまり上手くなるなよ。


なんて、嘘だからな。


精一杯、沢山練習するんだ。

これまでも、これから先も、コウトにとっては楽しい日ばかりじゃない。

他の子よりも、辛い思いをするかもしれない。

同じくらい、痛いことだって、ある。


それでも、諦めるなよ。

何回泣いてもいい。

何回転んだっていい。

立ち上がれないときは、誰かの手を借りてもいいんだ。


もう一度、を何度でも積み重ねて、諦めないでいれば、夢は叶う。


コウトが前に俺をヒーローだって言ってくれたときのこと、今でも忘れられないくらい、すごく嬉しかった。

俺にとっても、コウトは最高のヒーローだよ。


最後に、ごめんな、コウト。

俺はしばらくコウトには会えない。


でも、俺はちゃんと、いつでもコウトを見ているから。


精一杯、走って。

約束が叶う、そのときまで、コウトの夢が続きますように。


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