「ハイハイ! じゃあじゃあ、ボクからっ! ボクはドーピー!」
「ウチはスニージーや。何卒よろしゅうなっへっくしゅん!」
「ふあぁ……スリーピーでーす」
「ハハッ、ハッピーだよー」
「グランピーだ」
「……バッシュフル」
やいのやいのと自分をアピールする赤や緑やらカラフルな小人達。私の周りを囲んで跳ね回っている。可愛い。その中でも黄色いとんがり帽の小人が前に出てくる。
「初めまして、新しい白雪姫。このような場でのご無礼、彼らの世話係であるドックより深くお詫び申し上げます」
「は、はあ……」
彼らのまとめ役であるドックさんが、眼鏡をズラす勢いで頭を床に擦りつけているので、こちらもつい深々と頭を下げてしまう。なんか苦労が多そうだ。
「次は桃香の番だぜ」
「えっ? 藤澤桃香です……?」
「何故に疑問系?」
あ、そうか。自己紹介する流れだったのか。キャラの濃い小人達に気後れしてしまった。会ったばかりの赤い小人にまで突っ込まれるし。
しかしそこは白馬先生が持ち前の明るさでこの場を取り仕切ってくれる。
「よしっ。桃香の次は高雅――つっても、自己紹介なんて自分からするような奴じゃねえか。代わりに俺から紹介すると、本からメインのキャラクターたちを出す主に裏方担当の桐嶋高雅だ」
「勝手にあなたの滑舌悪い日本語で紹介しないでくれる? 態々しなくても、彼らは知っている」
「そうかよ。じゃあ最後に監督及びナレーションを担当する白馬蜜弥だ。全員よろしく頼む」
こちらは仲がいいのか悪いのかという反応だ。白馬先生が高雅さんの肩を腕で掴んで引き寄せたかと思えば、高雅さんが引き剥がして火花をバチバチと散らす。
こんな感じで大丈夫だろうかと彼らを前に不安の色は濃厚になる。今のところ白雪姫というより保育園みたいだ。