「……演劇ですか? 白馬先生」
「いや、俺は何も……」
白馬先生でもないという……じゃあ、高雅さん? いや彼は戦力外通告を受けたのだ。そんなはずはない。じゃあ……?
私と白馬先生で警戒しながら、辺りをキョロキョロと見回す。
「こちらでございます」
ポンッと、白馬先生の肩に白いフサフサの手が置かれる。思わずそちらを振り返る。
「って、わあああああ!? なになになになにぃ!?」
「うおっ!? なななな何だ!? 羊かッ!?」
「いいえ、羊ではありません」
脅える二人の前には、白い毛がフサフサに生えた動物人間なるものが白馬先生の背後に立っていた。あとよく見ると角が頭に二本生えている。
何から説明すればいいのやら、黒い燕尾服をきちんと着こなした身体は体格のいい人間で、襟首から上の顔は何かの動物の顔を様している。白い毛並みはなかなかよさそうだ。
「高雅あああ! またお前の仕業だろ!?」
「否定しないよ」
やっぱりあんたの仕業かよ! 潔いな!
こんなことできるのあんたくらいしかいねーよ!