しかし詳しい話を聞くと、白馬先生はイギリス人の母親の血を色濃く引き継ぐハーフらしい。
その事実に、瞳をキラキラと輝かせながら彼に言った。
「か、カッコいいっ!」
「えっ?」
私以外の二人が、思いのほか驚いている。
えっ、なんで? ハーフってカッコいいじゃん!
おじいちゃんほどではないけれど、その単語には心惹かれるものがある。
金髪の綺麗な髪に青い瞳の外国人は特に憧れで、小さい頃持っていた西洋人形みたいにとても綺麗で羨ましかった。
そして、日本人でありながらそれを兼ね備えた完璧超人が、自分の目の前にいるのだから、感動しちゃうのも当然でしょう。
「そ、そうか? へへ、ありがとな。教師の立場だからこういったのはよく批難されるんだが、そう言ってもらえると嬉しいぜ」
照れくさそうに白馬先生は言うが、その笑顔がまた女子の心をくすぐる。あどけない笑顔に、ちょっとときめいてしまったじゃないか。
でも照れ隠しで人の髪をわしゃわしゃかき回すのはどうかやめてほしい。冷めた。
「ねぇ……イチャつきたいのなら出てって。ここは僕のテリトリーだ」
「わ、悪い……お前の女に手を出そうなんてはなから思ってねえよ」
「……何のこと、それ」
そして隣を見ればすこぶる機嫌が悪そうな高雅さんがいる。もうカオスだ。
別に白馬先生とイチャついた覚えもなければ、高雅さんの彼女になった覚えもない。二人とも間違えてる。
「ところで、今日は何か用なの。あなたがここに来るってことは、あの老いぼれからまた何か言われて来たんでしょ」
それまでの口論を切り上げて、高雅さんから投げた問いに白馬先生はハッとした。当初の目的を思い出したようだ。
ヘラヘラと笑いながら高雅さんの背中を叩きまくるのは、お礼のつもりなのか。めちゃくちゃ痛そうだ。高雅さんもめっちゃ嫌そうだ。
「ああ、忘れるところだった。理事長からお前らに、ひとつ言伝を預かっている」
空気を変えて、白馬先生が改まった口調で預かった言伝について触れる。
「そしてこれは図書委員会顧問として、俺からの頼みだ。
――『S1グランプリ』で優勝しろ!」
「何それ?」
輝かしい瞳で明言した白馬先生に、すかさず高雅さんからの指摘が入った。
…………うん、何それ?