「それなら、私を送ってくれるこの間だけでいいです。先輩のこと、少し教えてください」

 またしつこいなって怒られると思ったけど、彼は押し黙った。これは……聞いてもいいのか?

「えーと、甘いものは好きですか?」

 あんまりいい質問が出てこないなあ。
 スルーされてしまうかなと不安になったけど「嫌いじゃないよ」と静かに返ってきた。甘いもの、好きなんだ。可愛い。

「猫が好きなんですか?」

「そのこは頭がいいからね」

 確かに。この白猫ちゃんは飼い主に似てハイスペックだ。その上人懐っこくて可愛い。猫の世界ではかなりモテるだろうなあ。
 ダメもとでも私からの質問に答えてくれるようになってくれた。これは距離を縮めるチャンスかもしれない。

「えっと、じゃあ好きなタイプはどんな子ですか?」

「……少なくともバカは嫌いだ」

「なっ」

 なんだよ〜! 聞くんじゃなかった! 別に期待なんかしとらんけどね!
 でも、話してみると意外と楽しくて、もっと仲良くなればいろんな一面を見せてくれるかもしれない。そんな淡い期待に、引き寄せられる。


 最後の階段を降りたところで、やっぱり気になっていたことを切り出してみることにした。



「……先輩は、どうして毎日図書室にいるんですか?」