「おすわり!」

 ふたりはびくっと肩を跳ねさせ、頭の上に『!』マークを浮かべながら、私を振り返った。

「トラちゃん、エビチリ肉まんはご飯を食べ終わったら一緒に買いに行こう」

「いいのか!?」

 トラちゃんが瞳を輝かせる。

「うん。だけど、いつも料理を作ってくれてる黒と白くんに『ごめんなさい』をするのが条件」

「なんでだよ!」

「白くんと黒の料理を、『じじいが食うようなもん』って、さっき言ったでしょ」

 ばつが悪そうに、「うっ」とうめくトラちゃん。悪いことをした自覚はあるらしい。

「健康を気遣って作ってくれてるんだから、感謝しないとね?」

「わかったよ……わ、悪かったな。黒、白」

 トラちゃんの謝罪で気が済んだのか、黒も人の姿に戻る。そして、その場に膝をついたかと思えば、深々と頭を垂れた。

「申し訳ない、雅様。ついカッとなって、昼食を台無しにするところだった」

「わかればよろしい」

 冗談っぽく上から目線で返すも、黒の耳は元気なく下がったままだった。そこまで落ち込まなくてもと思うが、彼は私のことも朔と同様に主と慕ってくれている。真面目なので、主に注意された=とんでもない失態のように思っているに違いない。ならば……。