「ヴェ…ヴェロンバ……。」

コーニエルは直ぐには現実を受け入れることができなかった。

しかし、見た人はヴェロンバは強力な魔力を放出した反動で消えてしまったと言う。

「本当に居なくなっちまったのかよ……。」



生き残った魔術師たちは、この国を去っていった。

「どこに行くんだよ!」

「この国の領民はみんな優しいが、それ以上に俺たち魔術師を戦争の最前線に行かせたこの国が憎い!!上の者たち、貴族たちが許せない!そして、魔術師に対してなんの労いの言葉もない!」

「だけど、領民がお金を出しあって亡くなった魔術師たちの慰霊碑を建ててくれるそうだぞ。」

「それだって、おかしいじゃないか!普通は、国や金持ちの貴族がお金を出してくれたら良いじゃないか!」

「そりゃそうだけど、仕方ないじゃないか……。そんなことしてくれないんだから……。

それにどこに行くって言うんだよ!俺たち魔術師を受け入れてくれるところがあるのか?」

「分からない……。しかし、どこかにきっとあるはずだ。それに受け入れてくれないのなら、魔術師と言うことを隠して生きるよ。」

「なんでだよ!?隠して生きるなんて!!まるで魔術師なのがいけないことみたいじゃないか!!俺は絶対に嫌だからな!隠すなんてこと、絶対にしない!!」

「そうか……。じゃあ、俺たちはもう行くよ。また、会えるといいな。」

「……。」

コーニエルは去っていく仲間の姿を無言で見送った。







そして、月日が過ぎていった。

コーニエルは、前向きに生きる努力をしていた。

もう過去に囚われていてはいけないんだ!

前向きに生きるんだ!!

自分に言い聞かせていた。



そんなある日、国王からお呼びがかかった。

隣国の第一王子を殺してほしいと言われた。



「なぜ私なのですか?」

「君は魔術師だろう?魔術師なら魔法で気づかれないように間接的に人を殺すことができるんじゃないか??」

「……。」

「やってくれたら、報酬はたくさん出すよ。」