戦いが始まった。

相手の国は魔術師だけではなく、強い騎士も戦いの最前線に駆り出された。

一方、コーニエルやヴェロンバが住んでいる国は平和ボケしていて、強い騎士などはいなかった。

みんな、戦い方を知らないものばかりだった。

「ちょっとー、あっちの国は馬に乗って戦ってるじゃない!こっちは、馬に乗ってる人いないじゃない!どういうことなの?」

「馬は貴重なので戦いには出せないそうです。」

「うっそー!?」

「嘘じゃないです。」

「何かないの?」

「じゃあ、僕が代わりの動物を魔法で出してあげましょう!えい!!」

ボンッ!!と煙がもくもくとたち、煙の中から姿を現したのは、リクガメだった。

「ちょっとー、リクガメじゃなーい!!これでどうやって戦うって言うのよー!?」

「このリクガメはジャングルで生息しているリクガメで、ライオンでも噛み砕くことのできない硬い甲羅を持っています。」

「硬い甲羅を持っていても、言うこと聞いてくれなきゃ意味ないじゃないの!?」

リクガメは、言い合っている二人をよそにもしゃもしゃと周りの草を食べ始めた。



「気を取り直して、もう一回!えい!!」

ボンッ!!と煙がもくもくとたち、煙の中から姿を現したのは、ブタだった。

「今度は、ブターー!?」

「ブタって賢いんですよ。しつけたら、人間の言うこと聞くんですよ。見ててくださいね!ポン太9号、お手!」

ポン太9号は、お手をした。

「わー!!すごーい!かしこーい!」

「他にも、こんなこともできるんですよ!このボール取ってこーい!えい!」

ポン太9号は、投げたボールを取りに行った。そして、ボールをちゃんと口にくわえて持って帰ってきた。

「よしよし!えらいぞ!ポン太9号!!」

ポン太9号は、しっぽをフリフリしていた。

「可愛いー!!私も、ブタ飼ってみようかなぁ……じゃなくて!!ぜんっぜん、戦力にならんわ!!ただ、敵の今夜の晩ごはんになるだけやないか!!」

「とっても良い、ノリツッコミありがとうございます。今度は、ちゃんとしますから。えい!!」

ボンッ!!と煙がもくもくとたち、煙の中から姿を現したのは、ダチョウだった。

「でか!!」

「ダチョウってかなり大きいから、人間も乗れるんですよ。よっこいしょ。さあ、いくぞ!!」

ダチョウに乗って、走っていった。敵がいる方向とは逆の方へ……。

「ギャー!!そっちじゃないー!!止まれー!!速すぎて、気分悪い……吐きそう。」







「なにやってるんだ、あいつ……。」

ヴェロンバは、一人呟いた。