「見逃してやろう。」

「本当ですか!?ありがとうございます!!」

アベラード卿は、深々と頭を下げた。

「コラ!あなたも頭を下げなさい!!」

田中さんも頭を下げさされた。



「バートも解放してやる。」

「「ありがとうございます!!」」



アベラード卿はなんとかスブルストの国王の機嫌をとり、見逃してもらった。



「タナカさんにアベラード卿、本当にありがとう!!この恩は一生、忘れないぜ!!」

「そんな一生だなんて大袈裟な……。」

「大袈裟じゃないんだ……俺にとって、バートはかけがえのない親友なんだ。助けてくれてありがとう!!本当にありがとう!!」



こうして、田中さんとアベラード卿はコーニエルの親友を助け、帰国した。





「アベラード卿!!どうしてそんなデマカセを言ったんですか!?ビックリしましたよ!!」

「タナカさん……自分でも不思議だよ。別にそんなこと言うつもりもなかったんだ……。だけど、自分の身に危険が及びそうになって、つい口からあんな言葉が出てきたんだ。

まあ、見逃してもらえたんだし良かったじゃないか。」

「まあ、そうですけど……。」









後日、本当にコーニエルが自分たちの国グラスターへ魔法を使った手品をしに来た。

「えっ!?マジで来たの!?適当に言っただけだったのになぁ……。」



しかし、魔法を使った手品は大盛況だった。

「うわぁ!!?手から火の玉が出たぞ!」

「火の玉でお手玉してるぞ!!」

「熱くないのかなぁ?」



「今度は、手から水を出してるぞ!!」

「この魔法、お花の水やりに便利ね!私も使えたら良いのになぁー。」



「す、すげー!!手から電気出てるぞ!」

「良いなぁー!俺も使えたら、電気代節約できるのになぁ。」

「って、おいおい!さっきからみんな、しょーもないこと考えやがって。素直に感動できんのか?」

「みんな、素直に驚いて感動してるわよ。だけど、庶民的なことも考えてしまうのよ。仕方ないでしょ!」

「これって、あとでお金取られないよね?」

「大丈夫みたいよ。無料で私たちに見せてくれてるらしいわ。」

「良かったー。でも、スブルストから魔術師を呼ぶのにお金払ってるでしょうし、そのお金って税金から取ってるんじゃないの?」

「確かに……。」

「いや、最初はスブルストの国王は貴重な魔術師をグラスターで魔法を使った手品をやらせるんだからお金を頂く予定だったみたいだが、魔術師がどうしても無料にしてやってくれと頼み込んで無料になったらしいぞ。」

「なんでだろ?魔術師って、この国になんか恩でもあるの?」

「さぁ┐('~`;)┌」

「まあ、スブルストとグラスターが友好な関係が築けたら、それでいいよね!」