そのメイドは、既に仕事を退職していた。

履歴書に書かれている住所に行ってみたが、引っ越したらしく既にもぬけの殻だった。

「逃げられた…。」

「カレン、まだ諦めるのは早いぞ。」

「えっ!?」

「ポストの中に手紙が入っていたんじゃ。手紙の表に差出人の住所と名前が書かれていた。その人の所に行ってみないか?

何か手がかりを掴めるかもしれんじゃろ?」

「はい!行ってみましょう!!」







「えっ!?ペイジが引っ越しただって!?全然、知らなかったよ…。」

「あなたもどこに引っ越したか知らないんですね…。失礼ですが、あなたと彼女は一体どういう関係なんですか?」

「僕は、ペイジと付き合っていたんだよ。

だけど、いきなり何も前触れもなく別れてほしいと言われたんだ。

だけど、僕はペイジのことが好きだったし、もし自分が知らない内にペイジを傷つけるようなことをしたのだったとしたら、謝るから別れたくないと書いた手紙を出したんだよ。

しかし、ペイジは、その手紙を読むこともなく引っ越すなんて…。悲しいよ…。」

「そうだったんですね…。

落ち込んでるときに申し訳ないのですが、彼女が引っ越しそうな場所ってないですか?」

「そんなこと、分からないよ!」

「そうですよね…。そんなこと聞いて、すいませんでした。」

「だけど、ペイジの友達なら知ってるかもしれないな。」

「えっ!!本当ですか!!その友達に会わせていただけますか!?」









「残念だけど、私もペイジがどこに引っ越したかは知らないわ。」

「そうですか…。

では、最近彼女に変わったことはなかったですか?」

「うーんと…変わったことというか、ペイジは最近、羽振りが良かったわね。

どうしたの?って聞いたら、近々、大金が手に入るみたいなことを言っていたわ。

なにか悪いことに手を出してないといいんだけど。」

「そうですか…。ありがとうございました。」

「あっ!?

そういえば、前にイケメンと食事してるの見たわ!!」

「二人の様子はどうでしたか?」

「仲の良い感じで、付き合ってるのかと思ったわ。そのイケメンを探してみたらどうかしら?なにか知ってるかもよ。」

「そうですか!どこのお店で食事していましたか?」









「あー!!!見た見た!!その二人、ここに食べに来てたよ!」

「二人の会話の内容とか聞いてないですか?」

「会話の内容は聞いてないけど、あのイケメンの兄ちゃんは、ここの常連だよ。

ここで待ってたら、イケメンの兄ちゃんに会えるはずだから、直接、聞きたいこと聞いてみたらどうだい?」

「ありがとうございます。待たせていただきます。」



コソコソ。

「カレン、待ってる間に何か注文せんと悪いんじゃないかのう?」

コソコソ。

「そうですね。では、何を注文しましょうか?」

「そうじゃのう。わしは、トマトジュースを頼もうかのう。」

「では、私はオレンジジュースを頼もうかな…。

すいませーん!トマトジュースとオレンジジュースお願いしまーす!」