「私のズボンのポケットの中に毒物が入った袋を入れることができる人物か……なにか手がかりはないのか?」

「ティム様の洗濯した物を部屋に片しに行ったメイドは、片しに行くときにはズボンのポケットの中を確認しなかったから、その時には毒物が入れられてたのかどうか分からないと答えたわ。」

「じゃあ、片しに行く前に入れられた可能性もあるし、片しに行ったあとに入れられた可能性もあるってことか。」

「はい。それから、ズボンのポケットを確認しなかったと答えたメイドが自ら入れた可能性もありますよね。」

「そうだな。」

「それから、不審な人物が来たり、変わったことは無かったそうです。」

「一体、どこから手がかりを見つけていけばいいんだ??」

ティムとカレンは、悩んだ。

そこに、ティムのお義父さんが言葉を出した。

「わし、思うんじゃが単純に考えて、ズボンを片しに行くときには入ってなかったんじゃないかのう。

だって、片しに行くメイドがなにか入ってる気がすると思って、ポケットの中を確認するかもしれんじゃろ。

メイドに毒物を入った袋を見つけられたら、計画は台無しになるじゃろ。」

「確かに、いちかばちかみたいな賭けはしないでしょうね。

しかし、片しに行ったメイド自ら入れた可能性もありますよね?」

「それはないと思うぞ。

もし、片しに行ったメイドが入れたんだとしたら、ポケットの中には何も入ってなかったと答えると思うぞ。

だって、入ってたかどうかポケットの中を確認してないと答えたら、自分にも疑いはかかるじゃろ?

そんな自分に疑いがかかるようなこと、犯人は言わんじゃろう?

答えたメイドは、正直者じゃろう。嘘はつけないタイプじゃないかのう。

本当にポケットの中を確認してなかったんじゃないかのう。」

「じゃあ、洗濯物を私の部屋に持ってきてくれたあとに入れられたと言うことですか?」

「その可能性が高いと思うぞ。それからの行動を教えてくれ。」

「洗濯物を受け取って、そのまま着て朝食を食べに行きました。」

「誰かと接触しなかったか?」

「えーと、途中で廊下を掃除してるメイドに会って、挨拶をしました。そのときに、後ろから儀典員のグレゴリーに声をかけられて、一緒に食堂に行って朝食を食べて、仕事場に行きました。

昼食は、一人で城下町に行って流行りのたこ焼きを食べて、仕事場に戻って仕事をしました。

仕事を終えてから、国王陛下と二人で食事をして、今のこの状況になっています。」

「そうか…なにか変わったことはなかったのか?」

「変わったことですか?うーん、なにも変わったことは無かったような気がするのですが……。」

「おかしい!!」

「急にどうしたんだ?カレン??」

「おかしいです!!朝食を食べに行く途中で、廊下を掃除しているメイドに会ったって言いましたよね!!

しかし、その日だけは特例で宮廷の掃除は無かったのです。晩餐会の片付けを宮廷の掃除をするメイドにも手伝ってもらったら、翌日を休みにしてくれと抗議されて、急に翌日を休みにはできなかったから、翌々日をかわりに休みにしたのです。

それなのに、廊下を掃除しているメイドがいたのはおかしいです!!

早く、そのメイドを探しましょう!!」