「ペリゴール侯爵令嬢をお連れしました。」
「「会いたかったぞー!!!」」
カジミールはペリゴール侯爵令嬢を抱きしめた。
「私も会えて嬉しいですわ!!」
周りの人達も二人の再開に感動している。
「カジミール殿下、積もる話もありますので二人きりでお話ししたいです。」
「そうか、分かった!!」
こうして、ペリゴール侯爵令嬢とカジミールは二人きりになった。
「カジミール殿下、まず初めに言っておきたいのだが私はペリゴール侯爵令嬢ではない。」
「「はぁ!?一体何を言っているんだ!?」」
「不思議な石を使ってペリゴール侯爵令嬢の姿になっているだけで、私はグラスターの第一王子のティムと申す。」
「「バベット嬢、どうしたの!?大丈夫!?」」
カジミールはペリゴール侯爵令嬢が変なことを言い出すので心配した。
「まあ、とりあえず見てほしい。」
そう言ってすぐに、ペリゴール侯爵令嬢の姿が変わった。
「「うわーーーーーー!!!!??」」
カジミールは驚きのあまりひっくり返ってしまった。
「大丈夫?」
手を差し出した。
「「……きっ、君はっ!?」」
「グラスターの第一王子のティムだ。」
「「……何でバベット嬢の姿になっていたんだ!?」」
「この不思議な石を使ってペリゴール侯爵令嬢の姿になっていたんだ。」
カジミールに不思議な石を見せた。
「この石を身につけて、なりたい人物を思い浮かべるんだ。そうしたら、思い浮かべた人物になれるんだ。」
「「えっ…!?ちょっ…まっ……!?そんなことができるの!?」」
「ああ、とまあそんなことはさておき、本題に入ろう。ペリゴール侯爵令嬢はカジミール殿下と結婚したくないと申している。
理由は、ペリゴール侯爵令嬢がベンタット子爵令嬢を苛めていないと言い続けていたが、カジミール殿下はベンタット子爵令嬢を信用し、ペリゴール侯爵令嬢との婚約を破棄したにも関わらず、今回もまたそちらの都合でペリゴール侯爵令嬢を拉致し、無理矢理結婚させようとすることは犯罪だと申している。」
「……そうだったのか。……そうだよな。バベット嬢を裏切ってしまったんだ……。許されるはずがない。愛想を尽かされるよな……。」
カジミールはしなしなと床に崩れ落ちた。
「分かってくれたか?それじゃあ、ペリゴール侯爵令嬢との結婚は無しということで、良いな?」
「ああ……、良い――「良くないわ。」」
「!?」
ティムの背後で誰かが声を発したので、ビックリして振り向いた。
「お母様、聞いていたのですか?」
カジミールがそう言った。