結婚をする者もいれば、婚約破棄する者もいた。
それは、ペリゴール侯爵令嬢の出身地、レオルーノの第一王子のことだった。
「何でレオナ嬢と婚約破棄しなくてはならないのですか!!?」
「ベンタット子爵令嬢に王妃になるための勉強を教えても、すぐに飽きたと言ってやらなくなるのよ。だから、ベンタット子爵令嬢とは婚約破棄させていただいたわ。」
「そんな!!それはあんまりです、お母様!!何とかならないのですか!!?」
「あなたには残念だけどならないわ……。最初から無理な話だったのよ……。王妃になるための勉強を今から覚えさせるなんて……。」
そう言って、王妃はため息をついた。
「それでは、また婚約者を見つけなくてはならないということですか?」
「ウフフ、そういうことになるわね。」
王妃はニヤリとした。
「どっ、どうしたのですか!?何を笑っているのですか!!?」
王子のカジミールは、母親の不気味な笑みにゾクリとした。
「実はあなたの元婚約者のペリゴール侯爵令嬢がグラスターにいるという情報が入ったのよ。」
「えっ!?それは本当ですか!!??バベット嬢は、領地療養するために辺境の地へ向かっている道中で盗賊に襲われて亡くなったと聞いておりましたが生きていたのですね!!良かったです!!安心しました!!!」
「そうなのよー!!良かったわよねー!!だから、ペリゴール侯爵令嬢をレオルーノに連れ戻してあなたと婚約させれば良いのよー!!いや、もう婚約なんて言わず結婚させましょう!!」
「……しかし、一度婚約破棄してしまったのに許してくれるでしょうか……?」
カジミールは不安そうにうつむいた。
「大丈夫よ!!だって、ペリゴール侯爵令嬢はあなたのことを愛しているもの!!自信を持ちなさい、カジミール!!」
「……しかし、バベット嬢はレオナ嬢を階段から突き落としたり、筆記用具を隠したり、色々悪いことをやっているのです!!そんな人とは結婚したくありません!!」
「まあ、そういうだろうと思ってベンタット子爵令嬢にもう一度聞いてみたのよ。本当にペリゴール侯爵令嬢に階段から突き落とされたり、苛められたのか?そしたら、白状したわ。嘘だって。どうしてもあなたと婚約したかったからそんな嘘をついてしまったんだって!」
「「そんな……!!?レオナ嬢が嘘をついていただなんて……。信じられない……!!」」
「ショックよね……。信じていた人に裏切られるなんて……。だけど、安心しなさい。グラスターからペリゴール侯爵令嬢を連れてくるから癒してもらえばいいわ!」
そう言って、王妃はカジミールを大事に抱きしめた。