「「なりすまし!?そんなことできるの!?」」

ハンプトン子爵令嬢は田中さんの考えに驚いて、聞き返した。

「魔術師ならエマ殿下そっくりに変身してなりすますことができたとしても不思議じゃないじゃない?」

田中さんはさらっと言った。

「確かにありえない話じゃないな……。」

アベラード卿も田中さんの言葉にうなずいた。

「えっ!?アベラード卿まで何言ってるの!?」

ハンプトン子爵令嬢は戸惑った。

「以前、コーニエルさんがネコに変身してフランクの家にお邪魔したことがあっただろ?」

「そっか!!忘れてたけど、あの時ネコに変身してたわね!!ネコに変身できるなら、誰か別の人にだって変身できても不思議じゃないわよね!」

「そうだろう。」

「……ん?でもちょっと待って。じゃあ、コーニエルさんは何で私を操るなんて面倒くさいことをしたのよ!別に私を操らなくても、私そっくりに変身してなりすましたら良かったじゃない!!」

「確かにそうだな。」

ハンプトン子爵令嬢の話を聞いて、アベラード卿はそういえばそうだなと思った。

「じゃあ、コーニエルさんに魔法で別人に変身できるかどうか手紙を出して聞いてみましょうよ。」

田中さんがそう提案した。









そして、手紙の返事が来たので田中さんが読んでくれた。

「なになに、別人に変身するには呪文を唱えないといけない。そして、その呪文をコーニエルさんは知らないそうよ。」

「そうだったのね。だから、私を操るなんて面倒くさいことしかできなかったのね。じゃあ、一体どんな魔術師なら知ってるのかしら?」

「えーと……別人に変身する呪文は、一部の凄く賢い魔術師しか知らないと書いてあるわ。色んな魔術師に教えてしまうと、悪用する魔術師も現れたら困るからだそうよ。」

「それは賢明な判断ね!もし、その呪文をコーニエルさんに教えてたら絶対私に変身してたわね!」

「言えてるわね……。」