ハンプトン子爵令嬢は家に帰り、落ち込んでいた。
「あー、なんであんなこと言っちゃったんだろ?」
ポロポロ……。
「私、別にティム殿下が嫌いだから突き放すようなことを言った訳じゃないのに!!」
ポロポロ……。
「きっとティム殿下も、傷ついたに違いないわ!!」
ポロポロ……。
「あれ?気がつかなかったけど、私泣いてたんだ……。」
ハンプトン子爵令嬢は、やっと自分が泣いていることに気がついた。
そして、他にも気がついたことがあった。
「私、ティム殿下が好きなんだ。」ハンプトン子爵令嬢がティムに冷たいことを言ったのも、これ以上優しくされたらティムのことを好きになってしまうと無意識のうちにとった行動だった。
「だけど、ティム殿下には言えない……。」
そう。
ティムにはサンドウィッチ侯爵令嬢という婚約者がいるからだ。
「この気持ちは、胸の中に秘めておこう。」




そして、次の日。
ティムから声をかけられた。
ハンプトン子爵令嬢は、ドキッとした。
「なっ、なんでしょうか?」
「昨日は、すまなかった。少しお節介だったよな?」
「いっ、いえ、私の方こそ、申し訳ありませんでした。私を心配してくれたのにティム殿下に失礼なことを言ってしまって、すみませんでした。」
「えっ?なんのこと?」
「えっ!?ティム殿下を突き放すようなことを言ったことですよ!」
「そうだっけ??」
「私が言ったことに対して、ティム殿下は何も言わず拳を握りしめて、怖そうな顔をしていたじゃないですか!!!怒ってましたよね?」
「あー、あれか?あれは、君を助けることができなかった自分に対して怒っていたんだよ。」
「「そうだったんですか!!??」」
ハンプトン子爵令嬢は、勘違いをしていたのだ。
「あーあ、悩んで損したなぁ~。」
「おいおい……。それは、酷いな(^_^;)自分で勘違いして、悩んで損したはないだろ??」
「あっ!?申し訳ありません!!ついうっかり本音を言ってしまいました!!」
「プッ!フハハハハ!!!」
「えっ!?ティム殿下、どうしたんですか!?大丈夫ですか!?」
「いや、大丈夫だ。気にしないでくれ。あまりにも、ハンプトン子爵令嬢が面白すぎて笑ってしまっただけだから。」
「////何言ってるんですか!!?面白くないですよ!!」
「いや、面白いよ。」
「いや、全然面白くありませんよ!!」
「いや、やっぱり面白いよ。」
「全く面白くないです!!」
「いや、かなり面白いよ。」
「これっぽっちも面白くないです!!」
「分かったよ。私の負けだ。」
「やった!!勝った!!」
こうして、ハンプトン子爵令嬢はこれっぽっちも面白くない令嬢になった。