「ねえ結衣。真鳥、どうだった?」


 一年生の廊下で未琴にそう聞かれたのは、次の日のことだった。


「え、真鳥……?」
「結衣が気に入りそうかと思って、まずは友達として紹介してみたの」
「どうって……昨日は家まで送ってもらっただけで」
「送ってもらっただけー?」


 腕を組んだ未琴はどこか不満げに聞き返した。


「……あ、でも真鳥と会ったあとの私、何だか気分がすっきりした感じがしたよ。意外と癒し系なのかな」
「そっかぁ、良かった。結衣、もっと落ち込んでるかと思ったから。真鳥のこと紹介して良かったかな」


 安心したように未琴は笑い、自分のクラスへ入って行った。


(落ち込む? ……私、何かあったかな)


 考え込むも、頭の中に靄がかかったみたいに、それ以上探ることはできなかった。