放課後、私は蓮先輩に誘われて、二人きりで下校していた。
 いつかの夕暮れも、大きな川を眺めながら、こんなふうにゆっくりと堤防を歩いていたのを思い出す。



「最近、千尋先輩と未琴、一緒にいるのを見かけなくなりましたよね」
「……うん」
「私のせいで関係が壊れたのかと思うと、不安になってしまって」


 あんなにお似合いの二人だったから。いつか和解できる日が来ることを願っているけれど……。


「それは結衣のせいとかじゃなく、二人が決めることだよ」
「そう、ですよね……」
「たとえば、千尋が過去に人をいじめていたとしたら。嫌いになる? 今の千尋のこと」
「いえ……何か事情があったのかなと思いますし。話を聞いただけで、即座に嫌いにはなれないと思います」


 根本的に『いじめをする人』というイメージは消えないし、どうしてもそういうフィルターを通して見てしまうことになる。
 だけど現在進行形ではなく、過去の話だから。
 それだけで嫌いになる理由ができたとは言えない。

 私も未琴の立場なら、逆らえなくて同じことをしていた可能性もある。
 三井先輩だって、主犯格とはいえ、蓮先輩への気持ちが強すぎたせいで、私を排除する方向へ行ってしまったわけで……。
 私にも悪いところがあったし、彼女たちだけを責めることはできない。