やっぱり、未琴の言っていたことは本当だったみたいだ。
 二人の関係はまだ、続いていると。

 あの日、自宅のアトリエに誘ってくれたのは、ただの気まぐれで。
 知らないうちに嫌な思いをさせてしまった私のことは、もう二度と誘ってくれることはないだろうと感じた。


 教室に近づくにつれて、どことなく不穏な空気に変わっていく。


『ほら、あの子じゃない?』

『ああ、あの子ね……』

『柏木先輩と三井先輩の仲を引き裂いたくせに、沢本君のことも狙っているらしいよ』

『そんなふうに見えないのにね、サイテー』

『三井先輩、かわいそー』


 廊下で顔を寄せ合う生徒たちは、私の方をちらちらと見て、眉をひそめたり嗤ったりしていた。

 どうしてそんな噂が?と、首を傾げたくなった。
 最近、沢本君とは挨拶すらしていないのに。


「おはよう、未琴」
「……ああ、おはよ」


 ざわつく教室に入ると、未琴までもが、なぜかよそよそしく目をそらす。
 普通に接してくれているのは、椎名さんくらいのものだった。