プリントの上部には『ここがテストに出るよ! 多分!』と丸文字で書かれており、その下には出題されるだろう問題とその答え、そして解説がびっしりと手書きで記されていた。

「へへへ、凄いでしょ」
「ああ、天才的だ」

 珍しく心の底から褒めてやった。
 実のところ俺が赤点を回避できたのは完全にこのプリントのおかげだ。冬木が予想した問題のほとんどが実際に出題されてくれたおかげで俺は何とか一命をとりとめることができたのだ。

「さて誠くん」
「うん? なんだ」
「私はご褒美が欲しいです」

 小躍りを終えて腰を落ち着けた冬木が唐突にそんなことを口走った。

「……言ってみろ」
「えっとね――」

 じっと固唾を飲んで言葉の続きを待つ。
 一体何を要求されるのだろうか、考えるだけで恐ろしい。

「頭を撫でてほしいなあ!」
「はい却下」

 また意味不明なことを。