「大丈夫か?」
声からしてマキウスと同い年くらいの若い男だった。
衝撃で固まっていたモニカだったが、「はい……」となんとか答えたのだった。
「それなら良かった」
金髪の男は安心すると、構えていた盾を下ろした。
男の足元に強盗が投げたナイフが落ちているところから、どうやらナイフは男が持っている盾に当たって落下したらしい。
男がナイフを拾っていると、マキウスが駆け寄ってきて、モニカを抱きしめたのだった。
「モニカ! 大丈夫ですか?」
「私は大丈夫です。マキウス様は?」
「大丈夫です。怪我一つ、負っていません」
マキウスはモニカを離すと、「どうしてここに?」と訊ねてきた。
「すみません。マキウス様が心配だったので、子供たちにお願いして、ここまで案内してもらいました」
「私は待っているように言いましたね。こんな場所に来るなんて……」
マキウスから怒気を感じて、咄嗟に子供たちを庇うが、モニカの背後にいた子供たちが「ちがうよ!」と、口々に言い出したのだった。
「おねえさんはわるくないよ! ぼくたちがわるいんだ!」
「そうだよ! わたしたちがつれてきたの」
「マキウスがしんぱいだったんだ。なぁ!」
子供たちが頷くと、マキウスも何かを言う気力が無くなったのか、立ち登るようだった怒気が収まったのだった。
「全く……。けれども、無事で安心しました」
「ご心配をおかけして、すみません……」
マキウスは安心したように目を細めると、微笑んだのだった。
駆けつけて来た騎士団は、ナイフを投擲した後、どこかに逃げた強盗を追いかけたようだった。
様子を見ていた住民たちも、怪我をした者の手当をするか、そのまま立ち去ったようで、その場にはモニカたちとモニカを助けてくれた金髪の男しか残っていなかった。
「マキウス様は追いかけなくていいんですか?」
「先程、壁に叩きつけたので、そう遠くには逃げられないはずです」
モニカの言葉に、マキウスは強盗と騎士団が去って行った方を見たが、すぐに視線を戻した。
どうやら、強盗の追跡は騎士団に任せるつもりらしい。
モニカは怪我をした住民を見送っていた金髪の男に近づくと、声を掛けた。
「先程は助けて頂き、ありがとうございました。お怪我はありませんか?」
「ああ。心配無用だ。気遣いに感謝する」
モニカの言葉に振り返った金髪の男は、モニカやマキウスより、少し歳上の人間ーーユマン族だった。
マキウスに負けず劣らずの端正な顔立ちに、澄んだ海の様な深い青色の瞳、モニカの金髪よりも濃い色をした長い金髪を背中に流していた。
(これ、何の鳥だろう?)
金髪の男は銀色の甲冑で全身を包み、翼を広げた何かの鳥の絵が書かれた銀色の盾を持っていたのだった。
モニカがじっと盾に書かれた絵を見ていると、何かを考え込んでいたらしい金髪の男は、急に声を上げたのだった。
「モニカ?」
「えっ?」
モニカが男に視線を移すと、金髪の男は満面の笑みを浮かべる。
その男の笑顔に、モニカの胸が高鳴ったのだった。
「やはり、モニカだな。元気そうで良かった……会いたかった」
そうして、金髪の男は戸惑うモニカを抱きしめてきたのだった。
声からしてマキウスと同い年くらいの若い男だった。
衝撃で固まっていたモニカだったが、「はい……」となんとか答えたのだった。
「それなら良かった」
金髪の男は安心すると、構えていた盾を下ろした。
男の足元に強盗が投げたナイフが落ちているところから、どうやらナイフは男が持っている盾に当たって落下したらしい。
男がナイフを拾っていると、マキウスが駆け寄ってきて、モニカを抱きしめたのだった。
「モニカ! 大丈夫ですか?」
「私は大丈夫です。マキウス様は?」
「大丈夫です。怪我一つ、負っていません」
マキウスはモニカを離すと、「どうしてここに?」と訊ねてきた。
「すみません。マキウス様が心配だったので、子供たちにお願いして、ここまで案内してもらいました」
「私は待っているように言いましたね。こんな場所に来るなんて……」
マキウスから怒気を感じて、咄嗟に子供たちを庇うが、モニカの背後にいた子供たちが「ちがうよ!」と、口々に言い出したのだった。
「おねえさんはわるくないよ! ぼくたちがわるいんだ!」
「そうだよ! わたしたちがつれてきたの」
「マキウスがしんぱいだったんだ。なぁ!」
子供たちが頷くと、マキウスも何かを言う気力が無くなったのか、立ち登るようだった怒気が収まったのだった。
「全く……。けれども、無事で安心しました」
「ご心配をおかけして、すみません……」
マキウスは安心したように目を細めると、微笑んだのだった。
駆けつけて来た騎士団は、ナイフを投擲した後、どこかに逃げた強盗を追いかけたようだった。
様子を見ていた住民たちも、怪我をした者の手当をするか、そのまま立ち去ったようで、その場にはモニカたちとモニカを助けてくれた金髪の男しか残っていなかった。
「マキウス様は追いかけなくていいんですか?」
「先程、壁に叩きつけたので、そう遠くには逃げられないはずです」
モニカの言葉に、マキウスは強盗と騎士団が去って行った方を見たが、すぐに視線を戻した。
どうやら、強盗の追跡は騎士団に任せるつもりらしい。
モニカは怪我をした住民を見送っていた金髪の男に近づくと、声を掛けた。
「先程は助けて頂き、ありがとうございました。お怪我はありませんか?」
「ああ。心配無用だ。気遣いに感謝する」
モニカの言葉に振り返った金髪の男は、モニカやマキウスより、少し歳上の人間ーーユマン族だった。
マキウスに負けず劣らずの端正な顔立ちに、澄んだ海の様な深い青色の瞳、モニカの金髪よりも濃い色をした長い金髪を背中に流していた。
(これ、何の鳥だろう?)
金髪の男は銀色の甲冑で全身を包み、翼を広げた何かの鳥の絵が書かれた銀色の盾を持っていたのだった。
モニカがじっと盾に書かれた絵を見ていると、何かを考え込んでいたらしい金髪の男は、急に声を上げたのだった。
「モニカ?」
「えっ?」
モニカが男に視線を移すと、金髪の男は満面の笑みを浮かべる。
その男の笑顔に、モニカの胸が高鳴ったのだった。
「やはり、モニカだな。元気そうで良かった……会いたかった」
そうして、金髪の男は戸惑うモニカを抱きしめてきたのだった。