机に買ってきた食材を置いて、一息つく悠大。


「まったく、なんなんだ? あいつは。初対面なのに、あの口調に言葉つかい。人の家に来て、私より先に平気な顔して、飯まで食ってやがる! 」


 椅子に座り、食材を見ると悠大は何故か腹が立ってきた。


「この家の主は私だ! 何故私が、こんなものを食べなくてはならないんだ? あいつが良い物を食べているのに、何故私だけが…」


 怒りが湧いてきた自分に気づいて、悠大はハッとなった。


「何故、私はこんなに怒っているのだ? いらないと言ったのは、私だ…それなのに…」

 下から和也の嬉しそうな声が聞こえてくる。

 小さめの声で嶺亜が話している声も聞こえる。


 時折り2人で笑っている声も聞こえて…。


 悠大はなんだかモヤっとした気持ちが湧いてきた。


 だが、いらないと言った手前。

 今更降りてゆく事も出来ず、仕方なく買ってきた食材を食べる事にした。


「…美味しくない…」


 一口食べて、悠大が呟いた。


「コンビニ弁当って、こんなに不味かったか? 」


 リビングに入った時、焼き魚の匂いと煮物の良い匂いがした。

 それを嗅いだ時、悠大は正直お腹がグーッとなった。

 お腹が鳴るなんてどのくらいぶりだろう?

 ずっと食べる事もどうでもいいと思って、なんとなくしか食べていなかった。


 朝から顔をも合わせないで仕事に行ったのに、嶺亜は夕飯をきちんと作ってくれた。

 
 悠大の中で少しだけ罪悪感が湧いてきた。