月日が過ぎて1年半後。



 悠大と嶺亜の下に新しい命が誕生していた。


 季節は春になり桜散って、新緑の季節になった今日この頃。


「ホンギャー」

 元気な赤ちゃんの泣き声が、杉森家に響いていた。



「はいはい、ちょっと待ってね」


 嶺亜がやって来た。


 リビングのベビーバウンザーで寝ていた赤ちゃん。

 黄色のベビー服を着ている可愛い男の子。

 名前は萌(はじめ)とつけられた。

 また新しいスタートが始まる意味合いで、萌と名付けられた。



 嶺亜はちょっとほっそりして、髪はショートにしている。

 優しいお母さんの顔になり、穏やかに過ごしている。



 嶺亜がオムツを変えると萌はご機嫌になった。

「ちょっと待っててね、手を洗ってくるね」


 嶺亜がシンクで手を洗ってると、萌が目を開けた。


 開かれた萌の瞳は…綺麗な緑色…。


 赤ちゃんでふっくらしているが、よく見ると、萌はあの時の青年に似ている感じがする。

 
「はい、お待たせ」


 嶺亜に抱っこされ、ミルクを飲み始める萌。


「ただいま」


「あ、おかえりなさい」


 悠大が帰ってきた。


「お、萌、起きていたか? 」


 萌の頬に触れて悠大はとても嬉しそうに微笑んだ。





「さてと、今日は夕飯何にするかな」


 2階の部屋に荷物を置いて、着替えを済ませて悠大が降りてきた。


 冷蔵庫を見て。

「よし、今日はハンバーグでも焼くか」


 食材を取り出して作り始める悠大。



 あれから悠大は、嶺亜に教えてもらいながら家事をこなしている。


 嶺亜がお産で動けなくなると、何もできなくなるのは困ると裕美にも言われた事から本格的に家事を覚える気になったようだ。


 早く帰ってきた時は、こうして悠大が夕飯を作ってくれる。

 そして休みの日は掃除や洗濯も手伝ってくれて、嶺亜も随分助かっている。


 時々、萌を連れて近くのコンビニに行ってくれる悠大。


 その間に嶺亜は空気の入れ替えや、日頃できない掃除をしている。



 現在5ヶ月になる萌は起きている時間も増え、動きも多くなり目が離せない。


 目の色が緑色ではあるが、それ以外は悠大にも嶺亜にも似ているところがる。

 なんとなくちょっと変わった感じがする萌。