静かな霊園にある杉森家のお墓に、サキと一樹のお骨は眠っている。
13年の長い年月が経っていても、サキがやっと成仏したのはついこの間の事だとは悠大と嶺亜以外は誰もらない。
まだ2歳だった一樹が別の星で、あんなに素敵な青年に生まれ変わっている事も悠大と嶺亜以外は誰も知らない。
死後の世界なんて、空想だけで実際どうなのかは明確ではない。
「なんとなく、前に来ていた時より。ここの空気が軽く感じるよ」
お参りを終えて悠大が言った。
「サキさんやっと、次のステージに行けたからかもしれないですね」
「そうだな。だが、一樹がいる星はここの1日が三ヶ月と言っていたが。あれからだと、一樹はもう随分と年をとっているんじゃないか? 」
「そうですね。でも、寿命も違うかもしれませんね。それだけ時間の流れが違うのだから」
「かもしれないな」
お墓に来ると、みんなそこには死んだ人が眠っていると言う事で手を合わせる。
しかしサキと一樹が言うように、次のステージがあるのなら、お墓にいるのは不幽霊だけで、そのまま成仏した人はもうそこにはいない事になる。
この世に想いを残して死んだ人は、不幽霊になる。
そしてこの世に残された人が、あまりにも強い思いで引き止めていると成仏できずずっと不幽霊になって引き止められてしまう。
サキと一樹は、生きている人が幸せになる事が亡くなった人の喜びだと言っていた。
人は産まれて来ると死へ向かって生き始める。
それは避けられない事である。
人生は決めて産まれてくる、どこでどうやって死ぬのかは産まれてくるときに決めてくるようだ。
天使の血縁だったサキだから姿を現せたこと。
そして同じく天使の血縁だった一樹だから、前世の記憶が消えないまま時空を超えて、姿を借りて来れた事。
ありえない死後の世界の話しを見せてくれたサキと一樹。
そのおかげで、自分の殻に閉じこもってずっと、自分い嘘をついていた嘘つき社長の悠大は本当の自分の気持ちを認められるようになった。
そんな悠大を支えるために、また、天使の血縁者である嶺亜がやって来た。
奇跡を起こした天使が本当の愛を教えてくれたのだろう・・・。
それから…。