「なんだ? ナンパでもされたのか? 」

「そうみたいです」

「しょうがないか、嶺亜は目立てっているからな」

「え? 」

「行こうか」


 悠大が嶺亜の手を引いて歩き出した。





 悠大が連れてきてくれたのは、総有市で最も高級なホテル・ヘルティー。

 会員制のホテルで全てが高額。

 レストランも、コース料理で最低でも2万以上はかかると言われている。

 宿泊する部屋は最低ラインが3万円からになっている。



 静かな雰囲気で、ロビーにはオアシスがあり癒される空間がある。





 悠大が連れてきてくれたレストランは、来る人が貴婦人のような人ばかりで高級ブランドの服を着ている人ばかりである。

 
 嶺亜はそれほどの服ではない事を、ちょっと気にしている。



 シャンパンが運ばれてきて、2人で乾杯。


 シティーホテルのシャンパンより、とても美味しくて嶺亜は驚いた。




 運ばれてくる料理も、一流シェフが作る料理で、盛りつけからして違う。

 前菜からメイン…そしてデザート。

 全てがとても贅沢で夢のようなひと時に嶺亜は感じていた。


 
 レストランで食事を終えて…。


「嶺亜、今日はここで泊まって行くよ」

 ロビーまで来ると悠大が言った。

 驚いた顔をしている嶺亜の手を、悠大がそっと握った。


「今日は何の日か知っている? 」

「いいえ…」

「今日は嶺亜の誕生日だろう? 」

「あ…すっかり忘れていました。」

「まったく、自分の誕生日を忘れるなんて。あんまりだよ」



 悠大に手を引かれ、そのままエレベーターに乗り込んだ嶺亜。



 7階の広いダブルの部屋。

 見晴らしがよく夜景も綺麗に見える。


 会員制のホテルだけあって、備え付けのアメニティーも充実しいる。


 バスローブだけじゃなく、寒さに供えてパジャマまで用意してある。