いつも帰りが遅い悠大。

 だが和也が初めて家に居候になる事で、今日は早めに帰って来た。



 20時帰宅。

 嶺亜は既に帰ってきていて夕飯を作ってくれていた。


 キッチンの食卓に美味しそうな煮物と焼き魚が並んでいる。


「わぁ、いい匂いがする」


 和也が嬉しそうに食卓に向かった。


 食卓に並んでいる夕食を見て、和也はとても嬉しそうに微笑んでいる。

「すげぇ、煮物まである。久しぶりの和食だぜ」


 声がして嶺亜がやって来た。


「おっ、姉ちゃんが社長の新しい奥さん? 俺、社長秘書の澤村和也。今日からここに住み込むから、よろしく」


 イケメンなのに人懐っこく、気さくな挨拶をする和也。

 嶺亜はそっと微笑んだ。

「初めまして、嶺亜です。ここに住むのですか? 」

「ああ、寝る場所は適当で構わないぜ。2階は邪魔になりそうだから、1階の和室でも使うから、俺の事は気を使う必要ないぜ」

「そうですか」

「それよりこれ、食っていいか? 俺、ずげぇ腹減ってるんだ」

「はい、どうぞ。今ご飯つぎますね」


 嶺亜は茶碗を食器棚から取り出して、ご飯をよそった。


「ねぇ、あんたは食べないんだろう? 」


 悠大に向かって和也が言った。


「ああ、いらない」

 
 嶺亜はチラッと、悠大が手にコンビニで買った食材を持っているのが目に入った。


 少し残念そうな顔をした嶺亜だが、特に何も言わなかった。



「ご飯も炊き立て? うまそう。頂きます」


 食卓の椅子に座って、手を合わせて食べ始める和也。


「うまい! 魚もちょうどいい焼き加減だし、煮物もすげぇ最高! こんな美味しい料理食べないなんて…」


 和也は振り向いて悠大を見た。


「あんた最低! さっさとアッチ行けば! 」


 目を座らせてちょっと怖い目で悠大を見た。


 悠大はちょっと複雑そうな目をして、そのまま自分の部屋に向かった。


「めちゃめちゃ美味しい! やっぱ日本人は和食。和食が上手な奥さん、最高だ」



 喜んでご飯を食べている和也の声を耳にしながら、悠大は自分の部屋に向かった。