それから2週間後。
悠大と嶺亜が結婚して3ヶ月目に入った。
外はすっかり秋の色になって、コートが必要なくらい冷え込んできた。
芹那は自首してから、取り調べに素直に応じている。
13年前、サキと一樹をひき逃げしようと誘導した事と、運転していた男は結婚した夫で、その夫は浮気していると思い殺害した。
そして育ての両親は、ひき逃げの一件を知った事と、どこかよそ者の目で見られていて疎外感を感じていた事から殺害したこと。
そして最後に売春をしようとしたことも告白していた。
一樹から体を借りていた、澤村和也は警察官で刑事課所属の刑事さんだった。
現在36歳の和也は、警察官になりたての頃に交通課にいた。
その時にサキと一樹のひき逃げ事件を処理していて、ずっと真相を追っていた。
刑事になってからも、ひき逃げ事件はどうしても犯人を見つけたくて水面下で調べていた。
そして嶺亜の両親、水森夫妻が殺害された事件も担当していた。
水森夫妻が殺害されたのは2年前。
嶺亜がまだ弁護士になりたての時だった。
嶺亜の依頼人が逆恨みして、水森夫妻を殺害したとされ、誤認逮捕されていた男性は1年半前に、釈放されていた。
誤認逮捕された男を釈放した後も、和也はずっと真犯人を追っていた。
和也の調べて、近所の目撃情報から、水森夫妻と結婚して今は一緒に暮らしてはいない姉の芹那が、何かい争っている声を聞いたという情報を掴んでいたが、他の事件担当で犯人追求中に大怪我をして病院に運ばれ意識不明の重体になっていた。
芹那が自首したその日に、意識を取り戻し、怪我も回復して少しずつ刑事として復帰している。
芹那の取り調べも担当しているが、芹那の事は一切覚えていない。
芹那も敷いてあの夜の事を和也に話すつもりもなく、ただ…
「とっても可愛い坊やが、一晩一緒に寝て欲しいって頼んできたの。大人と寝るとお金がいるのよって話したけど、それでもいいて言うから驚いたわ。よっぽど、お母さんが恋しかったのかしらね」
と、笑いながら話すだけだった。