「嶺亜さん。今、僕の心から愛する人は、貴女にそっくりな人です」

「私に? 」


「はい。…僕のいる星は、こことは流れが違います。ここでの1日は、僕の星では3ヶ月は過ぎています。寝ている間に、体に戻ってはいましたが、そろそろ帰らなくてはなりません。多くの人が、僕の事を待っているんです。今日、ここでお待ちしていたのは、僕の最後の役目を果たす為と。嶺亜さんのお姉様から、伝言を預かっていましたので。それをお伝えする為に、待っていました」

「姉さんと、会ったのですか? 」

「ええ、昨日お会いしました。そして、全てを認めてくれましたよ。嶺亜さんのご両親の事も、全部です」


 嶺亜は辛そうに、そっと視線を落とした。


「嶺亜さん、もう何も心配しないで下さい。全て、僕が終わらせましたから。お姉様も心から改心して、自首されましたよ」

「え? 自首したんですか? 」

「はい。お姉様が自分から、選んだ道です。その時に、嶺亜さんに伝言を頼まれましたので、お伝えしても宜しいでしょうか? 」

「は、はい…」

 青年はニコッと笑った。


「お姉さんは嶺亜さんに「ごめんね」「ありがとう」と伝えて欲しいと言われました。ずっと、嶺亜さんが味方で居てくれた事が、嬉しかったようですよ」


「…姉さんが…」

 
 目が潤んで、嶺亜はそっと顔を背けた。

 そんな嶺亜を、悠大がそっと抱き寄せた。


「嶺亜さんの優しさが、最後にお姉様を救ったのですね。嶺亜さんにとっては、産まれた時からずっと一緒だった人ですから。血縁関係よりも、一緒にいた時間が絆を深めていたのですね」

「はい…」


「もう、全て終わりましたから。嶺亜さんは、これからは自分自身が幸せになる事考えて下さい。そして、僕のお父さんの事を、どうぞよろしくお願いします」


 嶺亜は顔を上げて青年を見た。

 青年はそっと微笑んでくれた。
 

「さて、もう1つ。最後の役目があります」


 ポッ…サキが合わられた。