悠大は驚いた目で和也を見た。


「いちいちゴタゴタうるせぇんだよ! 男一人で、何でもできているつもりになっているのか? 」


 クイッと、悠大のシャツの襟を掴む和也。


「ほら見ろ、シャツの襟汚れてるぞ。こんなんで社員の前でると、笑われるぞ! 」

「あ・・・」


 襟の汚れが目に入り、悠大はハッとした。


 フッとため息をついて、和也は悠大の襟から手を離した。


「いいか? 俺は今日から住み込みで、身の回りの世話をする。勿論、あんたの家でな。昼間はちゃんと社長秘書の役目果たしてやるから。田中の奴が元気になるまで、俺に飯ちゃんと食わせろよ! まだ給料もらってねぇし、金ねぇし。あんたの家広いだろう? 2階に3部屋、1階には和室と洋室があるんだ。俺1一人が住み着いても、別に問題ないだろう? 」


 家の間取りまで知っているのか? 


 悠大はただ驚くばかりで、和也が言うとおりに何故か従ってしまった。


「分かった。では、田中が退院して復帰するまで頼む」

「話は決まったな。さて、とりあえず仕事するか」


 初対面なのにあの態度。

 しかも社長秘書のくせに上から目線。


 この人は一体なんなんだ?

 驚きつつも、悠大は何故か逆らえない自分がいるのに気付いた。






 こんなわけで。

 和也は新婚である悠大と嶺亜の家に居候する事になった。